【インタビュー:(株)北海道アプレイザーズ・ファーム 上杉孝也さん】論理的で納得感のある不動産の評価額算出を目指して

上杉孝也さん
法務・会計プラザ (株)北海道アプレイザーズ・ファーム
執行役員・鑑定部長 不動産鑑定士

—経歴をおしえてください

生まれは滝上町です。親が営林署に勤める転勤族だったので、斜里町、東藻琴村、佐呂間町、北見市で育ちました。高校は北見北斗です。父はひきつづき転勤していたので、わたしは15歳から下宿で一人暮らしをしていました。大学は早稲田大に進みました。就職を考えていたころ、当時はバブルの真っ只中だったので不動産業界が活況を見せていました。北海道へ帰ってきたかったこともあり、たくぎん関連の不動産を扱う「タクト」という会社に就職しました。

 

—不動産鑑定士にはどうして?

たくぎんが破たんして、働いていた関連会社も特別清算となりました。そんな状況下、一番最初に独立していったのは不動産鑑定士という資格を持っている方々でした。そんな現状を目の当りにして「資格を取得しようか」と。清算会社に所属し働きながら勉強しました。試験には平成23年に合格しました。資格取得に10年くらいかかりましたね(笑)。

 

—現在の会社へは?

北海道アプレイザーズ・ファームの代表のひとりである大植隆はタクトの先輩でした。そんな関係もあり現在の会社に入れてもらいました。もともとは大植の個人の会社でした。平成13年に、個人事務所だと大型案件など依頼につながらないこともあるので、個人が集まってひとつの法人としてやろうということで会社が設立されました。大植が専任の鑑定士になりスタートしました。今は宮達隆行と2人代表のオフィスになっています。鑑定士は3人、スタッフは4人です。ちなみに「アプレイザーズ」とは「評価人」という意味です。

 

—具体的にはどのようなお仕事ですか?

不動産鑑定士は一般の人にはなじみが薄い職種かもしれません。だいたいが公的な評価が多いのですが、銀行といった金融機関や不動産会社からも依頼がきます。一般の売買では使われることは少なく、例えば、監査法人とか税務署に対して「鑑定士の評価した価格で取引しました」ということに使われます。

 

—どのように鑑定するのですか?

仕事のスタートは他の士業事務所から依頼や紹介があって始まります。例えば、不動産の価格を求める手法には、原価法(土地いくら、建物いくら、と積み上げる方法)、取引事例比較法(類似の不動産の取引事例から求める方法)、収益還元法(対象不動産が生み出す収益に着目して価格を求める方法)などがあり、これら3手法を併用して求めることとなります。不動産鑑定評価にあたっては、対象不動産を確定するために、現地に必ず行って確認します。その他、所有権及び所有権以外の権利などの権利関係、賃貸借契約等の有無について調査します。評価にあたっては、価格を形成する要因、具体的には一般的要因(自然的要因、経済的要因社会的要因、行政的要因について)、地域要因(対象不動産の存する地域について)、個別的要因(対象不動産の状況)について調査分析し、その上で、上記の手法を適用して価額を求めます。一件の鑑定に要する時間は、だいたい3〜4週間みてくださいという話しをしています。正式鑑定では20〜30ページの提出資料となります。この他に正式鑑定よりもページ数は少ないですが査定部分を中心とした簡易査定もあります。正式鑑定・簡易鑑定とあわせて、年間、だいたい150件以上やっています。

—鑑定士同士の違いはありますか?

不動産の価格は、その不動産をどのように利用するかなど、個別的な取引の事情などにより異なります。不動産に対して最も高い価格をつける人が、その不動産を取得することができます。不動産鑑定評価は、このような不動産市場に成り代わって価格のあり処を示す、不動産鑑定士の意見であり、判断であります。従って、鑑定士によりその価額が異なることがあります。土地は公的な評価が発表されているので大体同じになることが多いですが、建物や収益物件に関しては、物理的、機能的、経済的要因、追加投資や修繕の状態に対する判断、収益に対する利回りをどう見るかによって違ってきます。最後はいかに論理的に納得できる説明ができるかどうかが勝負となります。安くない費用をかけて鑑定をするので「使える鑑定書」でないと意味がありません。ウチの事務所ではそのあたりのことを考慮に入れて鑑定しています。

 

—仕事の喜びは何ですか?

仕事の喜びは、依頼者がはじめ困惑顔だったのが、鑑定書があることで上手くいって最終的には笑顔になることです。印象に残っている案件は、とある法人さんの全道各地にある工場の鑑定評価がありました。稚内や釧路、函館など移動が多く大変だったので印象に残っています。冬の現地視察は土地が雪に埋もれてしまうので大変ですね。

—今後の課題は?

10年後を考えると、業界内には若い人が圧倒的に不足しています。若い人を増やすことが必須でしょうか。「仕事があるんだよ」と、アピールしていくことが大切かと思います。合格者は全国で毎年100人くらいいるのですが、道内では2〜3人。大半が東京や大阪で仕事をしています。ウチの事務所もそうですが、道内の鑑定事務所は年齢構成がいびつなので、若い人に入ってきてもらいこの体制を維持したいですね。

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