【インタビュー:佐藤等公認会計士事務所 三田弘之さん】もっともっと勉強し、経営者に信頼される町医者のような存在になりたい

三田弘之(みた・ひろゆき)さん
佐藤等公認会計士事務所
公認会計士

—経歴をおしえてください

2017年の10月に入所しました。生まれは滝川市です。中学生までは、興味の向くことにしかエネルギーが出ないようなタイプでした。それを知っていた親が通信制高校の道をすすめてくれました。週に3日間だけ通うコースを選択。登校しない日は図書館に行って本から学んだり、英検の勉強をしたりしました。高校では簿記も学びました。

 

—大学は?

大学は小樽商科大に入りました。経済に興味があったからです。わたしは1987(昭和62)年という昭和の終わりに生まれました。多感な思春期は、日本経済が失われた10年・20年と言われた時代。テレビニュースなどでは「平成不況」とか「バブル崩壊」とか「不良債権」ということばが喧伝されていたのです。これって何なのだろうと思っていたことが、経済に興味を持ったきっかけでした。

 

—どんな学生でしたか?

小樽で一人暮らし。講義は大好きでした。専門科目はもちろん一般科目もおもしろく、教授を質問ぜめにしていた学生でした。大学では憲法の講義がおもしろかった記憶があります。国とか社会がどういうふうに成り立っていったのか。憲法を通じて見えてくるからです。社会の原型、原点がシンプルな法律に表現されていると思ったものです。経営史の講義も好きでした。

 

—会計士を目指すきっかけは?

公認会計士を目指そうと思ったのは、大学4年生の半ばごろです。みなと同じように就職活動をしてみたのですが、面接とかやる気が出なくて。自分は何もできない学生なのに、仕事でさも活躍できるようにアピールすることがどうしてもできませんでした。起業もできないだろうし、資格を取得するしかないな、と。試験の合格は卒業して3年後です。大学卒業後は、札幌の専門予備校に通って勉強しました。退路が断たれての試験勉強期間でした。

 

—最初の就職先は?

前職は東京で監査法人にいました。わたしが会計士に合格した当時は、多くの合格者を出していた時。でも実際はそんなに仕事が増えなくて、北海道での採用がほとんどなかった時期でした。なので大都市圏に狙いをつけて、東京で就職活動をしました。この法人には、5年間おせわになりました。

 

—どのような仕事でしたか?

上場している会社など大企業の会計監査をしていました。貸借対照表や損益計算書などにウソやまちがいがないかをチェックする役割。企業社会のインフラみたいな存在です。普段は目立ちませんが、何か問題やミスが発生した時にやり玉にあげられる仕事。企業活動や投資活動の信頼性を自分たちが支えているんだという自負が、日々の心の支えだったと思います。

 

—転機に考えたことは?

誰のために、何のために、どこを向いて働いているのだろうか。自分の中で明確にできない時がありました。今、目の前に相対している人のために、何ができるのか。そういう仕事をしたいなあと、漠然と思いが涌き上ってきました。

 

—現在の事務所へのきっかけは?

母校の大学に「緑丘会計人会」という会計人の集うOB会のような組織があります。そこの会合に参加してみたのです。すると、所長の佐藤とバッタリ出会いました。実は大学時代には、会計サークルに所属していて現役の会計士さんなどに講演をしてもらう活動をしていました。当時、佐藤等さんを講師としてお招きしたことがあったのです。再会した時、「今、なにやっているの?」となり、入所することになりました。

 

—現在のお仕事は?

現在はわりとなんでもやっています。一応、士業として入っていますが、スタッフの皆さんと同じような業務をしています。記帳代行入力もやります。月次の決算書チェックもします。顧問先に訪問して税務的なアドバイスもします。経験を活かして会計的なアドバイスもします。一部、社会福祉法人の監査業務もあります。所内の所属は大法人グループということで、比較的大きな企業を担当しています。

 

—会計が好き?

実はわたし、ミニチュアとかジオラマが好きなのです。ある空間にひとつの世界がきゅっと収まっている世界。会計も同じなのです。簿記の仕訳が好きで、商品/現金と、1行の中にそのやりとりがきゅっと収まって表現されるわけじゃないですか。こういう世界観が好きなのです(笑)。

 

—やりがいはどんなところ?

仕事は、楽しいです。誰のために働いているのかが、今はよくわかるのです。企業経営者に会うことが多いのですが、それぞれの土地で事業を起こされて、従業員さんを雇用して、地域に貢献している。こういう人たちを少しでもわずらわしい心配ごとから開放してあげたい。こういったお役立ちを実感できる仕事です。わたしの父も飲食業の経営者でした。社長の孤独さがよくわかるのです。

 

—事務所はドラッカーで知られていますが

ドラッカーは好きです。父がドラッカーファンで、著作をほぼ全部読んでいるほど。父の会社もドラッカーの考え方に沿って経営していました。なので自分も何冊か読んでいました。そんなこともあり、事務所内で飛び交うドラッカーのことばも違和感なく理解できていると思っています。ちなみに好きな本は『経済人の終わり』です。社会の本質を描いているからです。読書が好きです。塩野七生さんの『ローマ人の物語』は全部読破しています。座右の1冊はD・カーネギーの『道は開ける』でしょうか。自分は心配性で悩みやすいタイプでした。中高生くらいの時からの愛読書です。

 

—プラザ全体としての活動は?

法務会計プラザとしては、先日、事業承継セミナーを弁護士事務所と合同で開催しました。これからも、他の事務所と交流を深めていって、こういった取り組みをしていきたいです。

 

—将来のイメージはどんな感じ?

自分が目指しているところは、「頼れるまちの先生」みたいな存在。相談ごとに対して早くて正確に対応できるようになりたいです。コミュニケーションを通じて相手の想いを汲み上げるためには、経験や知識がまだまだ不足しているので、もっともっと勉強していきたい。その結果として、経営における町医者のような存在になりたいです。人に信頼されて頼りにされる。そういう生き方ができたらと思います。まだまだ、修業が必要です。

 

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