【「プラス+」秋号2020年度秋号 NO.39(5)】「経理代行」はもう古い?! より早く、より便利に、経理・総務の効率化を! ~人口減少の時代に対応するクラウド化の提案~

わが国では緩やかにしかしながら確実に人口が減少しています。2019年には12千万人ほどであった総人口が2029年には1億人を下回り、2065年には8,800万人程度まで減少するという推計がされています。(「令和2年版高齢社会白書」より) 

 このことは私たちの社会に様々な影響を及ぼしますが、特に深刻なものは労働人口の減少です。特に会社においては、経理・総務に携わる間接人員の不足がすでに表れ始めています。そこで今回は、会社の間接人員を削減しつつ効率化する方法として、クラウド会計ソフトの導入をはじめとするクラウド化についてお話しします。

①クラウド化とは??

クラウド化とは「企業や官庁などの情報システムで、自社内に機器を設置して運用してきたシステムを、ネットワークを通じて外部の事業者のクラウドサービスを利用する方式に移行すること。」(「IT用語辞典」より)です。
経理のクラウド化といった場合には、クラウド会計ソフトを導入しクラウドを利用する会計システムへ移行することを言います。具体的にはインターネットを経由して会計ソフトにアクセスすることで、ソフトをインストールしたりライセンスを購入したりせず、どこからでも利用することができることになります。つまり、今までは会計ソフトのライセンスを購入し、それをパソコンにインストールして会計データを作成。そのデータのやり取りは、ダウンロードをしたうえでサーバー上に上げ、メールに添付して受け渡しを行っていました。そして、どのデータが最新であるかを常に注意する必要がありました。それに対してクラウド会計ソフトは、クラウド上にあるデータに直接アクセスするため、誰が利用しようと常に最新のものがあるということになります。複数人が同時にアクセスすることも可能となったということです。

②クラウド化のメリット、デメリット

クラウド化の第一歩、クラウド会計を導入するメリット、デメリットについて、クラウド会計のソフトであるマネーフォワード(MF)を参照しながらご案内します。
(現在、クラウドの会計ソフトは何種類かあります。ここでは代表的なものの一つとしてMFを取り上げます。どのクラウド会計ソフトについても大きなメリット・デメリットは共通しているのでご自身に合ったものを選んでいただければと思います。)
クラウド会計でできること、まず一つ目が

明細データの自動取得

MFクラウドは金融機関との提携が進められており、入出金データをボタン一つで連携させることができます。銀行口座、クレジットカード、電子マネーと自動連携することにより明細のデータを取得するので、銀行口座の入出金や振込実績、クレジットカードや電子マネーでの支払いについて会計ソフトへの手入力が不要となります。この手間を省くことができるのは本当に大きいと思います。
二つ目は

明細データを自動で仕訳

一つ目で取り込まれたデータを自動で仕訳けられます。人工知能(AI)が仕訳を学習することで、入出金の摘要の内容などから勘定科目を判断し、自動で仕訳が切られます。回数を重ねるごとに精度が増し、作業にかかる時間が短縮されていきます。最初のうちは、仕訳をチェックして訂正する必要がありますが、その訂正したものが、学習されていきます。勘定科目の選択の仕方など、その会社の仕訳の癖にも対応してくれるというわけです。
三つ目としては

誰でもどこからでもアクセスできる、法令改正に対応

データがクラウド上にあるため、①インターネット環境があればどこからでもアクセスができます。また②法令改正があったときにも、迅速にアップデートされます。そのため、従来の会計ソフトはバージョンアップする度に最新バージョンを購入しインストールし直す必要がありましたが、常時インターネットに接続されているクラウド会計ソフトでは、③常に最新の状態に更新されたサービスを利用できます。また、従来のソフトはPCによっては使用できないものがあったりしますが、クラウド会計ソフトは原則、インターネットを経由してサーバーにアクセスできれば利用できます。④スマホやタブレットからでも操作可能なので、出先で確認もできます。そのほか、⑤複数人で同じデータにアクセスできるため、情報が一元化され共有しやすくなります。会計データの受け渡しも不要となります。データもクラウド上で管理するため、⑥データ消失のリスクも軽減します。


マネーフォワードクラウド ホームページより

次にデメリットについて考えてみます。
デメリットとしては、インターネット環境がないと利用できないということがあります。また、操作性が従来のインストール型のソフトと比べて不十分です。ただしこれは今後改善されていくものと考えています。

③会計ソフト以外もクラウド化することの必要性

ここまでは会計ソフトのクラウド化についてお話ししてきました。
経理のクラウド化の代表がクラウド会計ソフトの導入になるのは確かですが、それだけではクラウド化のメリットを享受しきれないのではないかと考えます。『クラウド化の最大のメリットは情報の一元化にある』からです。会計ソフトのみをクラウド化してもその作成のもととなった資料は個別でやり取りしていては意味がないのではないでしょうか。また、現時点では従来の会計ソフトほどの操作性を有していないため、細かい使いにくさに目がいってしまいがちです。そのためには会計ソフトに入力するデータのもととなる資料をはじめ、一連の業務に関する全てがクラウド上にあることが必要になります。そこでGoogleドライブなどのクラウドストレージサービスや、コミュニケーションツールとしてのChatworkなどを活用することによりオフィス機能全体をクラウド化が必須ではないかと考えます。そのことが、経理業務全般の効率化につながります。

まとめ

 クラウド会計については、まだまだ発展途上の部分もあり今後使い勝手がどんどん良くなることを期待しています。ただし、現状のクラウドサービスを利用することで経理の仕事はかなり簡略化されると思います。
 クラウド会計の特徴のもう一つに、どこからでも情報にアクセスできるため仕事をする場所を選ばなくなるということもあります。経理担当者のテレワークも十分可能になるでしょう。
 クラウド会計を効果的に利用すれば、経理の仕事の軽減には大いにつながります。その恩恵を最大限に受けるためには、会計ソフトのクラウド化だけではなく経理の仕事全般のクラウド化を考えることが大事です。また、仕事の仕方自体も変わっていくので、働く人の思考もシフトする必要があるでしょう。
 現状を変えることには大きな困難がつきものですが、人口減少時代は待ってくれません。クラウド会計導入による経理体制の縮小はこれからの時代に求められてくるものではないでしょうか。
 当、法務会計プラザの一員である佐藤等公認会計士事務所では、会計・税務のアドバイスだけでなく、お客様のクラウド会計への移行支援も積極的に行っております。
ご検討の方は、是非ご依頼いただければと思います。

 

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