【プラス+2019年春号 №36(3)】働き方改革関連法が2019年4月施行されます! 上戸悠吏江(太田・小幡綜合法律事務所 社会保険労務士)

 

上戸悠吏江

太田・小幡綜合法律事務所

社会保険労務士

 

有給休暇の取得義務化

 

今年の4月から変わる法律として、年5日の年次有給休暇の取得義務化があります。企業は10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、1年以内に毎年5日、日付を指定して有給休暇を与える必要があります(すでに1年で5日有給休暇を取得している労働者には指定しなくてもよい)。これまで我が国は、有給休暇の取得率が諸外国に比べて低いといわれていました。平成29年の厚労省の調査では、年次有給休暇取得率は51.1%ですが、これを政府は2020年までに7割まで高めようとしています。大企業の場合は有給休暇の取得率は高いですが、中小企業、特に小企業になればなるほど、取得が難しいという現実があろうかと思います。有給休暇を年5日取得させなかった場合には、最大で30万円以下の罰金になります。有給休暇の取得が困難であれば、業務の見直しが必要になるかもしれません。

なお、時季を指定して年次有給休暇を取得させる場合には、就業規則への記載が必要になります。就業規則を作成したままで一度も直していない場合や、古い就業規則を利用している場合は、見直しをぜひお願いします。

 

残業時間の上限規制

 

時間外労働の上限規制についても、大企業については2019年の4月から、中小企業はその1年後の2020年4月からになります。これまでの残業時間の上限は、原則月45時間、年360時間と定められていましたが、上限を超えても、法的な拘束力はありませんでした。さらに、臨時的に特別な事情がある場合に限り、特別条項付きの36協定を締結すれば、上限を超えた時間外労働時間を設定できるようになっていました。今回の改正で、時間外労働については、労働基準法本則に格上げされ、罰則がつくようになりました。精神面も含め従業員の健康管理や、仕事と家庭生活との両立を困難にしている現状も、時間外労働を厳しくすることとなった要因の一つだと思います。企業は正確な労働時間の把握を行うこと、仕事の生産性を上げる施策が必要になると感じております。労働時間の効率化、残業時間の削減をするために、AIやITクラウドで業務の効率化を図っていく必要もあると考えます。

 

同一労働同一賃金

 

「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」は、大企業については2020年4月から、中小企業は2021年4月から施行になります。同一労働同一賃金という言葉の方に馴染みがあるかと思います。同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されます。事業主は、短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合は、説明をしなければなりません。施行日がまだ先と感じていらっしゃる方も多いかもしれませんが、例えば、どのような理由でこの手当をどの人に支払っているかを考えていくと、時間はあっという間に過ぎてしましまうかと思います。施行日までの時間があるときに、一度、業務内容や賃金について見直しをすることをお勧めいたします。

 

・働き方改革関連法に関するセミナーが4月17日(水)開催されます。詳しくはこちらのページ

を参照ください。

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