老後資金は2千万円?結局いくら必要なのか。お金の貯め方をファイナンシャル・プランナーに聞く

田村友朗さん ファイナンシャル・プランナー

田村友朗(たむら・ともあき)さん

ファイナンシャル・プランナー

1959年、北見市生まれ。

北海学園大卒、日専連ニックコーポレーションなどを経て、2001年独立。

 

 

2千万円問題のインパクト

少し前に年金だけでは足りない、いわゆる2千万円問題が大きな話題になりました。わたしは、生き方のモットーがありまして「行きあたり、ばっちり」なんです(笑)。だから、あまり心配はしていません。

この2千万円不足というのは、タイムリーといえばそうで、老後の資金について意識を持っていただくうえで、非常にインパクトがありました。

ところで、あなたは「平均さん」という人にあったことはありますか? 平均という人はいないのです。あの金額はモデルケースの計算の結果。「こういう例もありますよ」といういちパターンのことなのです。金額だけを聞いて「2千万円なんて、持っていないよー」と、世間の不安をあおってしまった、ということです。

 

いくら必要かの議論の前に

どういう風に生きたいのか。きちんと自分で描けていないうちに、いくら必要なのかを心配してもしょうがないと思うのです。どう生きていくか、という人生設計を考えないで、金額だけ先行している状態だと思います。生き方によっては、「わたし2千万円なんかじゃ足りない」という人もいると思います。また、相談者の中には「1億円持っていても不安だ」という人もいます。

わたしは「ライフプランというものを1度、描いてみましょうよ」と、提案しています。そこで、金額に置き換えてみる。例えば、住宅を建てるのにいくら、子どもたちの学校にいくら。結果、老後資金にいくらと。優先順位を決めていったらいいのです。

 

老後資金は早くから対策

老後資金といっても、実際60歳や70歳になった人が準備できるものではないのです。早くから考えておかなければなにも対策がとれなくなってしまう。一般的にお金を「積み立てる」という方法があります。どこに積むかによって、結果が大きく異なります。

今の時代、積んでおいても、そのままでは増えません。例えばお金はあなたの大切なお子さんだと思ってください。子どもには必要な苦労をして成長してほしいと思いますよね。お金も同じなのです。ただ、置いておくだけではダメなのです。しかるべきところに置くとちゃんと増えていく。

危険をコントロールする努力は必要です。われわれが味方にすべきは時間です。時間を味方にするということは、早くから準備をすることです。老後の資金は積み立てではなく、資産形成をする上で、早くから長く行うことが大切です。

 

iDeCo(イデコ)とは何か

iDeCo(イデコ)はまさに老後資金です。イデコとは、「個人型確定拠出年金」の愛称。ざっくり言ってしまうと「老後資金を自分で作るためのおトクな制度」です。 60歳までの間に毎月一定の金額(掛け金)を出して、その掛け金で投資信託や定期預金、保険などの金融商品を選んで運用し、60歳以降に運用した資産を受け取るというもの。

60歳まで使えません。払い込んだ金額を所得税の課税対象額から差っ引いていて、今払っている税金を安くするものです。それを後から受け取る時に年金として受け取れるタイプのものです。

 

NISA(ニーサ)とは

NISA(ニーサ)と積み立てニーサは、毎年一定金額の範囲で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度。利息に対して税金がかかりません。もらう時の税金が軽減されるタイプのものです。

国が主導している制度。これは若いうちからやったほうがいい。やるべきだと思います。やらない手はないのです。10年振りかえった時にずいぶんと違います。長期投資をしてきた人としなかった人の差は広がります。投資型の積み立てをコツコツすることが大切です。

 

田村友朗さん

 

住宅ローンや車のローン

長く支払うもの、金額の高いものほど支払う金利の関係で支払い額に大きな差がつきます。住宅ローンはどうすべきか。多くの方がすすめられるままに、今は金利が低い変動型を使っています。これは、リクス管理の面から見たら危険です。

わたしは管理の面で住宅ローンは長い目でみたら固定型のほうをおすすめしています。やってはいけないのは、住宅ローンを組んでおいて退職金が出たら残りを全部払おうとする人。これは今や古い考え方です。

一方車の場合、就職して最初からローンで車を買った人と、お金を貯めてから現金で買う人。それぞれの買い方で何台か乗り継いでいくとします。退職する時に支払い総額を比較すると、ベンツ1台がプレゼントされるくらい差になることもあるんです。

 

教育資金はどうするか

教育資金は学資保険ではなくて、運用と併用させましょうとアドバイスしています。「積んでおく」と低金利時代には増えないのです。保険や個人年金には「変額」があります。変額にはリスクはあります。だから自動販売機のようには買えません。しっかりとアドヴバイスできる担当者が必要です。

リスクは分散させるのが基本です。そのうえで月々1万円を教育資金で準備する場合。7千円を運用に回し、3千円は収入の変動に対応できるタイプにするというようなこと必要です。

 

退職金も運用する

退職金。かつては年金で普段の生活をして、退職金の利息で旅行やレジャーをするという計画を立てることができました。しかし、金利がずるずると下がって、今はそういう時代ではなくなりました。バブルのころは郵便貯金の利息が6%という時があったのです。12年置いておくと倍になった時代。びっくりです。

でも今は全く状況が異なります。退職金も金利がつかないところにに置いておくと、目減りしていきます。「元本保証」は安全ではないと考えます。モノの値段、物価が上がっていくからです。金額としてはそのままですが、相対的な価値が下がる。低金利ゆえに企業側も対策を取らないと退職金を払えなくなっていく時代です。

大手企業も退職金の支払い方をどんどん変化させています。普通に給与として払ってしまうと所得税がかかってしまうので、制度としてイデコとかを受け皿にしているのです。ですから、国は「運用しなさい」ということ一生懸命にアピールしています。けれど、われわれ日本人は現金が好き。元本保証が好きですね(笑)。

 

お金につての勉強法

お金についての勉強は、本を読んだり、ファイナンシャル・プランナーの話をお聞きになられるといいでしょう。でも、よくある「マネー教室」というものは、後ろに商品販売がひもづいていることが多いので注意が必要ですね。特に無料のセミナーは売るための場と考えて聞いたほうがいいのでは?とも思います。

運用というのは、自分で情報を集めて勉強してやってみること。わからないことは、わかるまで話を聞くなりして理解することが大切かと思います。わかった上で失敗しても、自分の理解がちがっていたと思えることを前提しっかり学ぶことが大切で、学びは裏切りません。

 

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