行政書士 原先生にインタビュー!②在留資格について現状を語る

※この記事は2部構成の後半です。ただ本記事からもお読みいただけます。
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行政書士 原先生にインタビュー!①入管業務の現状を語る

皆さんは行政書士の仕事がどのようなことを行っているかご存知でしょうか。

行政書士の仕事は多岐に渡りますが、前回はその中でも入管業務についてお聞きしました。

前回に引き続き今回は在留資格について、行政書士法人第一事務所 行政書士の原先生にお聞きしてさらに行政書士の仕事を知りたいと思います。

ーー受入機関は大変と仰っていますがどの在留資格にも「受入機関」はあるのですか?

在留資格には大きく分けると二通りあって、「活動内容」に応じて在留資格が与えられるものと「身分」に応じて在留資格が与えられるものがあります。

特定技能、技能実習などは「活動内容」によって与えられるもので、「身分」によって与えられるのは日本人の配偶者等、永住者などがあげられます。前者であれば基本的に受入機関は存在しますが、後者であれば本人の身分によるものなので受入機関は存在しません。

ただ、例外と言えるかはわかりませんが、活動内容による在留資格のうち「経営・管理」という資格で経営者として日本に在留しているケースはちょっと特殊であるといえます。なぜなら、ほかの在留資格では受入機関が別に存在していますが、経営者の場合は受入機関に対して外国人自身が影響しているというか、本人と受入機関の責任者、代表的な例でいうと「代表取締役」が同一人物であるということがあります。

人格としては別人と言えるのでしょうが、本来本人をサポートし、指導すべき立場ともいえる受入機関が本人なので、ほかの在留資格とはちょっと異なるのです。

受入機関がない、とまでは言えないですが…

ーー確かに自分が経営する会社が受入機関というものなのでほかの資格とは異なりますね。

普通に考えて、どこかの会社や学校に入るとなると、あらかじめ既に組織があって、ある程度はその組織で決められたルールがあったりします。でも、経営者の場合はルールを決めるのは本人であるケースが多いですし、極端な話仕事をしていても遊んでいても、給料をいくら払おうと基本的には自由です。日本人でも同じですよね。

でも、在留資格としてはあくまでも「経営・管理」をするために日本に入ってくるわけですからちゃんとその活動をしてもらわないと困るわけです。そのため「経営・管理」では会社の実態、ちゃんと実際に会社として活動があるかといった点を見られるのです。

ほかにも色々見るポイントがあります。

ーー例えばどんなところですか?

会社と自宅がきちんとわけられているか、事業計画を提出させて日本国内でビジネスがうまくいくのかなどです。

また、ビジネスの内容については基本的には何をやってもよいのですが、例えば不動産投資、マンションを1棟購入して「家賃収入だけで会社を存続させる」というのは不許可になりやすいです。なぜなら不労所得なので、日本にわざわざ来て経営活動に従事する必要はない、自分の国で日本から家賃収入だけ入ってくればいいだろう、という考えだと思います。

ほか株の投資だけをもっぱら行うようなものも同様と考えられます。

ーー経営・管理で会社を作る場合、どんな会社が多いのでしょうか?

これまで取り扱ってきた案件では貿易業や観光業が多かったです。もともと自分の国でも取り扱ってきたビジネスを日本でも行いたい、と思う方が多いようです。

ーー事業計画を立てる際の注意点はありますか?

日本人が会社を設立する際もそうですが、事業として成り立つか、計画は実現可能かという観点を持つようにしています。あとは許可された後は1年後に更新を控えるので極力事業計画に沿って事業を行うように伝えます。

もちろん、計画通りに必ずしもいかないのでしょうが…特にコロナ禍で観光業をメインにした会社さんは壊滅的なダメージを受けていました。それでも色々周辺業務を開拓して会社は存続させていましたが…

ーー話は変わりますが身分によって在留許可を申請する場合は注意点などありますか?

基本的に身分による在留資格の場合は偽装されたものでないか?ということに気を付ける必要があります。

「日本人の配偶者等」の「等」には、日本で出生している日本人の子で外国籍の子供も含むのですが、こういった場合は血縁は出生届などで証明できるのでいいのですが、「配偶者」となると身分を示すものとして戸籍謄本や婚姻届出受理証明書などの資料が考えられますが、婚姻届そのものはハッキリ言って役所の窓口で提出すれば基本的に受理されるので、「婚姻が真正なものであるか否か」はわかりません。

ちょっとおかしな言い方になりますが、外国人にとっては身分でもって在留資格を得るのはメリットが大きいのです。身分で在留している場合、就労する際に前に述べたようなどんな活動をしているか?活動内容が在留資格に沿っているか?を考えず、自由に就労できます。

勿論就労しなくても構いません。遊んでいても寝ていても何をしていても法に触れない限りにおいてはOKです。そのため、偽装結婚をしてでも在留資格を得たいと思う人がいても不思議ではありません。

ーー結婚の真正性をどう確認するのですか?

正直相談を受けた件数が多くないので、不十分な点もあるかもしれませんが、とりあえず面談時に馴れ初めから聞いていきます。証明資料としては婚姻届出受理証明書などの公的な書類のほかにメールやLINEなどのやりとり、双方の親族との面識など「状況証拠」を積み重ねるようにして申請することになります。また、保証人として日本人側の親族に身元を証明してもらう必要があります。

ーー保証人って重たいですね。

世間で言われる保証人のように債務不履行や損害が発生した際に本人に成り代わり金銭を支出することを求められる性質のものではありませんし、仮に本人が何か問題を起こしても連帯して責任を負わされるものではないのですが、後日偽装だと判明した場合には不法在留を助長したと捉えられかねないので、その点は注意が要りそうです。

ーーほかに審査のポイントはありますか?

資力にも一定の要件はあります。

具体的に年収いくら以上という基準は少なくとも公表はされていませんが、前にも述べたように「外国人に生活保護を受給する権利は憲法上保証されているものではない」というスタンスですので、日本で生活保護を受給される、つまり公金を外国人に使うということは基本的に回避しようと考えていると思われますので、最低限生活していく資力を夫婦で有しているか?という点は十分に説明する資料を作る必要があると思います。

出会い方や交際期間についても見られます。

一般論ですがマッチングアプリでの出会いや短い交際期間だと日本人であっても何となく白い目で見るような風潮はあるような気がします。何となく…という価値観で審査がされるわけではないのですが、例えばマッチングアプリの場合は「共通の友人」のように二人の関係性を証言できる人がいなかったりするのは若干マイナス材料なのではないでしょうか。

ーーいくつかの在留資格についてお伺いできたのですが、今後の入管業務はどのようになると考えていますか?

基本的には難しくなっていくのだろうと思っています。

状況としては、過去最高の在留者数を何年かは更新していくような時代だと思います。入管への申請もオンライン化が進み、簡単に申請書を出せるようになりました。

オンラインによる本人申請も容易になっています。一般論ですが数が増えて、申請手続きが簡略化されれば、その質は下がっていきます。

もう一つ一般論ですが、外国人の母数が増えれば比例して外国人による様々な問題も露見します。

日本人にとっては「外国人」というのは特別な存在なので、ニュースになったりすると目立ちます。外国人がニセコの土地を購入していることにも肯定的ではない意見も存在します。

こういった世論が形成されていくと審査する入管の審査も徐々に厳しくなっていくと思われます。今はなぁなぁで済まされている問題が、ある日厳格に取られるようになると必然的に不許可の件数は増えていってしまうのではないかと懸念しています。

ーー質が下がっていると思うことはありますか?

幸いにして私のクライアントは外国人本人もかかわる方々も尊敬できる素晴らしい方々だと思っています。ただ、そういったクライアントさんからも時々小耳にはさんだり、同業者から聞く話、ニュースなどを見ているとどうしても「大丈夫かな?」と思ってしまうことはあります。

ーーどんなことを聞いて「大丈夫かな?」と思うのですか?

色々ありますし、言えないことも多いのですが、目の前の許可に全集中している人を見ると心配になります。例えば「こうやって書けば許可通るらしいですよ、先生!」と情報提供してくれたりとか(笑) 

ありがたいんですが、それって更新時に矛盾しそうだな、とかどうしても考えてしまうんですよ。例え目の前の許可にとって都合のいい話でも、後々矛盾したりすると結果的に更新できなかったりということはあり得ます。

逆に都合悪い話でも後から発覚するとさらに質が悪い話は表現の仕方は気を付けますがちゃんと記載するようにします。先々を考えておかないと、後で隠し立てをしたとか嘘ついたとか思われると結果的に不利益ですから。

ーー確かに当事者は目の前のことに夢中になりがちですよね

それはそれで仕方ないことだと思います。我々も常に同意を示したり、意向に100%沿ってあげるのが「いい先生」なのかもしれませんが、後々問題になりそうなことを見て見ぬふりして進めるのはどうかと思うので…

外国人本人は全く孤独なわけではなく、多くの場合は同じ境遇の同じ国籍の人とつながっています。SNSなどで。そうすると横のつながりで色々な情報を持っているんですよね。これは人間だれしもが持っている弱みだと思いますが、色々な情報があるとつい自分に都合のいい情報を信じたくなるんでしょうね。

我々とは見る視点が違うので話を聞く分には楽しいですし、参考になりそうなこと、ためになることは多々ありますが、最終的にNOということも結構あります。

ーーNOといって納得してくれるのですか?

当然何でNOかは説明しますので…わかってくれる人ばかりではないのでしょうが…

ーーほかに質が下がっていると思うようなことはありましたか?

同業者で報酬が異常に安いところが最近増えたような気がします。

恐らく数をこなして事務所経営を成り立たせようとするのでしょうが、個人的には危険だと思っています。

数をこなすためには1件あたりにかける時間は必然的に短くなります。そうすると先ほど述べたような「後々のこと」をよく考える時間が確保できていないのではないかと。それでもって作成した書類を入管に出すわけですから…もし何かあったときに「本人申述に沿って作っているんで」と言ってもやはり問題はありますよね。

最後に入管側から察した出来事としては、今年の4月に入管から「経営・管理」に関するガイドラインが出されました。

中身を読んでみたのですが、元から知っているよ、っていう内容でした。恐らく趣旨としては「これからは厳格にやりますよ」っていう趣旨なのだと思います。

ハッキリ言ってガイドラインから若干逸脱していても、逸脱することの是非は別としてちゃんと活動していればそこまでうるさく言われることはなかったのではないかと思います。恐らく入国件数が増えてきて、色々あったのではないかと思います。

ーー今後どのように入管業務を行っていきたいですか?

当然スキルアップは常にしていきたいと思っています。あとは入国する外国人がどんなビジョンを描いているのかを捉えて対応したいですね。

恐らく外国人が増えていく時期が続くので、どこかのタイミングでかなり厳格に扱われることがあるのではないかと思います。そういった状況になってもクライアントを守り抜くことができるように制度趣旨に沿って、後々問題になるようなことがないように事前に準備していくようにクライアントと協同してやっていきたいですね。

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