第一事務所通信Vol.32━コロナ禍で期限が切れた在留資格認定証明書はどうなる?━

 

2020年に新型コロナウイルス感染症(covid-19,以下単に「コロナ」と言います。)の流行が世界中に拡散したことにより,これまで当たり前に行われてきた国を跨いだ人の往来が著しく制限されることになりました。

コロナによる入管業務において最も影響を受けているのは,コロナ流行の直前若しくはその後に在留資格認定証明書を取得できた「新規入国を控えた外国人」です。彼らは,日本における在留資格が認定されているにも関わらず,未だ日本の地を踏めていないのです。それ故,日本で行おうとしていたこと(仕事,学業)がずっと停止してしまっているのです。

※この点については,身分系の在留資格(日本人若しくは永住者の配偶者・子,または定住者の配偶者・子で入国できないことで家族が分離している者)については入国規制の緩和対象です。他の緩和対象については,後述します。

ここで一つ疑問が生じます。在留資格認定証明書はいつまで有効なのでしょうか?というのも,コロナの流行で外国人の新規入国が拒否されてから既に2年近く経過しています。

実は証明書には有効期限の記載があって「上記の年月日(証明書が発行された日)から3月以内に査証と共に入国審査官に提出して上陸の申請を行わないときは,効力を失います」と記載しています。つまり,証明書発行の日から3か月以内に日本に入国しないと,せっかく取得した在留資格認定証明書が無効になり,再度新規に在留資格認定証明書交付申請を申請する必要があるのです。

但し,この点についてはコロナの流行がはじまったときから,配慮がされており,現在は「発行日から6か月または2022年4月30日までのいずれか遅いほうの日」が有効期限とみなす措置がなされています。

なお,このみなし措置を適用する場合は,「所属機関(外国人が日本で在籍する職場や学校)からの申立て書」を査証申請時に在外公館(外国人が査証申請に訪れる日本大使館,領事館)に提出する必要があります。申立て書の内容は「在留資格認定証明書交付申請書に記載した内容通りの活動内容と同一の内容で受け入れることが可能である」というものです。

注意しなくてはならないのは,あくまでも所属機関が作成すべきもので,入国する外国人自身が作成するものではない点です。

実際には,この有効期限については,2020年から何回も延長されています。

本記事作成時点(2022年2月3日)では上記の通りですが,現在のコロナの状況を見るに,また期間が延びる可能性は十分に考えられます。

また,実務上の話をすれば,本来であればとうの昔に入国していた人たちが溜まっているという見方も出来ますから,コロナによる規制が緩和されると大挙として日本に外国人が押し寄せる,という事象も想定されます。

恐らく,入国の際の審査については外国人本人及び所属機関の状況の確認は深入りせず,在留資格認定証明書+上記の申立書があればほとんどの方が入国できるものと思います。

その際に注意しなくてはいけないのは,「入国後には,当初想定していた活動(=在留資格認定証明書交付申請で提出した書類通りの活動)を行う必要がある」ということです。

どういうことかというと,入国する際の審査が比較的緩い状態で入国するということは,次回の在留資格更新の際に活動内容の審査が厳しくなる可能性があるためです。

この点については,よく検討されるべきかと思います。明らかに活動内容に即することが難しい状況であれば,新たな在留資格認定証明書交付申請も視野にいれるべきかもしれません。もし,当初の活動内容と大きく変化がある場合は行政書士や入国管理局にお尋ねください。

行政書士法人第一事務所 行政書士 原隆史 (北海道行政書士会所属 登録番号 第17010426)

 

コメント

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です