【債務整理とは】の、6回目は、「消滅時効」という、借金の返済義務がなくなる制度の解説をします。
消滅時効とは
長期間借金の返済をしていないと、消滅時効という制度により、法律上借金を返済しなければならない義務が無くなることがあります。
消滅時効が成立するためには、以下の条件がそろっていることが必要です。
①時効期間が経過していること。
②時効の中断事由が無いこと。
③時効の援用をしたこと。
①時効期間とは消滅時効成立のために経過していることが必要な年数のことです。時効期間は、借金をした相手によって以下のように異なります。
消費者金融・銀行・カード会社・リース会社等からの借金の場合 ⇒ 5年
信用金庫・信用組合・住宅金融支援機構・友人知人等からの借金の場合 ⇒ 10年
②時効の中断事由とは、せっかくこれまでに経過した時効期間がリセットされ0に戻っていまう原因のことです。具体的には以下のとおりです。
請求
ア)裁判上の請求
「貸した金を返せ」という内容の訴訟を起こす場合等です。
イ)催告(裁判外の請求)
裁判外で「貸した金を返せ」という請求をすることです。だだし、これだけでは時効期間をリセットする効果は無く、催告の日から6か月以内に裁判上の請求を行う必要があります。
ウ)差押え、仮差押え、仮処分
貸主が借主の財産を差し押さえした場合等です。
エ)債務の承認
借主が貸主に対して借金の存在を認めるような行為をした場合です。「借金があるので払います。」ということを書面や口頭で表示したり、分割払いの約束をしたりしたときはもちろんのこと、一部でも借金の返済をすることは債務の承認にあたります。
上記①の時効期間の経過、②の時効の中断事由が無いことが満たされれば自然に時効が成立して借金を返済しなくて良くなるわけではありません。①・②が満たされた上で、時効の援用を行う必要があります。
③時効の援用とは、消滅時効が完成していることを貸主に対して主張することです。具体的には、内容証明郵便などを使って、「消滅時効が完成しているので消滅時効を援用する。」といった内容の手紙を、貸主に対して送ります。
ここがポイント
- ◆長期間借金の返済をしていないと消滅時効により借金を返済しなくてよくなる場合がある。
- ◆消滅時効の成立に必要な条件は次の三つ①時効期間の経過 ②時効の中断事由が無いこと ③時効の援用をしたこと
- ◆時効期間は5年か10年
- ◆時効の中断事由は次の3種類・請求 ・差し押さえ ・債務の承認
- ◆消滅時効により借金の支払い義務をなくすには、最後に時効の援用が必要
もしかしたら、借金の返済をしなくてもよい条件になっているかもしれません。
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