第一事務所通信 vol.02 ━ 機関設計のミニマル化について(その2) ━

役員のなり手不足に対応するために、

株式会社の機関設計をミニマル化しませんか?

(その2)

※本項において「会社」は、株式会社を想定しております。

【前回のまとめ】

前回のメルマガでは、役員のなり手不足への対応として、 会社の機関設計を

★1「株主総会+取締役会+監査役」

から、

★2「株主総会+取締役1名以上」

へと変更(機関設計のミニマル化)することが有効であること、

機関設計のミニマル化には、

株主総会を開催して定款変更の決議

を行えばよいことをご説明しました。

今回のメルマガでは、「機関設計のミニマル化を行うための手続き(=定款変更の手続き)」ついてご説明します。

【機関設計のミニマル化の手続き】

定款変更(機関設計のミニマル化)の手続きは、一般に下記のような流れです。

①担当部署(総務部など):★2に対応する変更後の定款案を作成

⇒(①′部署責任者などの決裁)

②取締役会:株主総会の招集を決定(・①の定款変更案を承認)

③株主総会の招集

④株主総会開催:①の定款変更案を承認

⑤登記・関係先へ提出等

以下、各手続きについて概要をご説明します。

【①変更後の定款案の作成】

まず、総務部などの担当部署で、変更後の定款の案を作成します。

この後、決裁者⇒取締役会⇒株主総会と承認のレベルが上がっていくのに備えて、担当者自身が変更の内容を十分に理解して、質問を受けた際に回答できるようにしておくことが大切です。

担当者レベルで変更案がまとまったら、変更箇所が一目でわかるように新旧対照表を作成し、変更にかかる各条文に、変更内容についての説明を付しておくのが一般的です。

新旧対照表が完成したら、本件についての社内の決裁者(所属部署の責任者、社長など)の決裁を受けます。

【②取締役会】

取締役会を開催します。

議題は、

株主総会の招集の件

定款一部変更の件

です。

➊「株主総会招集の件」では、定款変更の決議をする株主総会の招集を決議します。

この議題中で決めるべき事項は、下記の㈠~㈢です。

㈠株主総会の日時・場所

㈡株主総会の目的事項(議題)

※「定款一部変更の件」など。

㈢議案の概要

※「当会社の定款を別紙新旧対照表のとおり変更すること。」など。

また、会社によっては、取締役会規定などの社内規則で、定款の変更について株主総会の決議の他に、取締役会の決議が必要と定めている場合があります。

この場合は、➊とは別に、

➋「定款一部変更の件」

として、定款変更案を承認します。

➊㈢と➋との違いは、下記のとおりです。

・➊㈢は、「当会社の定款を別紙新旧対照表のとおり変更すること。」という内容を株主総会に諮ることについての承認

・➋は、取締役会としての定款変更案の内容についての承認

ところで、自社の定款に会社法370条のいわゆる「みなし決議」を行うことができる旨の定めがあれば、「取締役の書面による提案⇒全ての取締役からの書面による同意の意思表示」というやりとりをすることにより、実際に取締役が集まって会議を開催しなくても、取締役会の決議を成立させることができます。

役員が時間を合わせることが難しい場合は、こちらによることが簡便です。

取締役会を開催したら、取締役会議事録を作成します。

【③株主総会の招集】

取締役会での株主総会招集の決議を経た後、株主総会の開催日の1週間より前(※)に、各株主に対して株主総会の招集通知を発送します。

※株式の譲渡制限がない会社や書面・電磁的方法による議決権行使を認める場合は2週間前ですが、本稿は株式の譲渡制限がある会社が書面・電磁的方法による議決権行使を認めない場合を前提に記載しています。

招集通知に記載するべき事項は、②㈠~㈢です。

招集通知・議決権行使用の委任状の用紙の他、新旧対照表を同封するのが良いでしょう。

なお、株主の全員が同意している場合、招集通知を省略することが可能です。

【④株主総会の開催】

株主総会で「定款一部変更の件」について承認を受けます。

定款変更にかかる株主総会の決議は、特別決議が必要です。

従って、下記の両方が満たされる必要があります。

議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(※1)を有する株主が出席すること。

出席した株主の議決権の3分の2(※2)以上が賛成すること。

※1定款で「3分の1以上」まで緩和可能であるため、自社の定款をご確認下さい。

※2定款で加重可能です。加重している会社は多くありませんが、自社の定款をご確認下さい。

また、株主総会についても、「取締役の書面による提案⇒全ての株主からの書面による同意の意思表示」というやりとりをすることにより、実際に会議を開かなくても、決議を成立させることができます。

(いわゆる、株主総会の「みなし決議」。取締役会のみなし決議と異なり、定款に規定がなくても実施可能です。)株主の人数が少数でかつ全員から同意が得られる場合は、こちらの方が簡便です。

株主総会を開催したら、株主総会議議事録を作成します。

定款変更の内容が分かりやすいように、新旧対照表を議事録に綴っておくとよいでしょう。

議事録の作成方法がご不明であれば、司法書士へご相談ください。

【⑤登記・関係先へ提出】

以上のような手続きで、定款変更(機関設計のミニマル化)を行うと、下記のような会社の登記簿謄本に書込みしなければならない事項(登記事項)が発生します。

⑴取締役会の廃止

⑵監査役の廃止

⑶取締役の退任

⑷監査役の退任

⑸監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの廃止

⑹株式の譲渡制限に関する規定の変更

登記事項が多数になりますので、登記申請は司法書士に依頼する方が良いでしょう。

また、銀行取引約定書・継続的取引の基本契約書・リース契約書・賃貸借契約書などには、顧客が定款変更を行ったら、変更後の定款を提出する義務が定められている場合があります。

自社が締結している契約書を確認して、必要に応じて変更後の定款を提出するようにしてください。

その他、自社が許認可事業を行っている場合、定款変更後一定期間内に行政庁への届け出が必要な場合があります。自社の許認可の種類と、届出の要否を確認するようにしましょう。

【その他】

本項のテーマからは外れますが、上記の手続中には「取締役会」「株主総会」という会社法に基づく会議の開催が含まれています。

これらの会議について、実際には行っていないにも関わらず、議事録だけを作成して会議があったことにするケースもあるようですが、不適法ですのでするべきではありません。

本項でも簡単に触れましたが、会社法の下では、取締役会・株主総会とも、実際に会議を開催しなくても一定の条件のもとに適法に決議を成立させること(みなし決議)が可能ですので、こちらの利用をご検討ください。

【まとめ・ご案内】

今回は前回の続きとして、期間設計のミニマル化の具体的な手続きについてご説明しました。

次回メルマガでは、本シリーズの最終回として、機関設計のミニマル化を行う際の具体的な定款変更の内容を、定款の記載例をお示ししながらご説明します。

当事務所では、機関設計のミニマル化も含めた機関設計のお手伝いに力を入れています。

また、取締役会・株主総会の開催、みなし決議の実施についてもお手伝いをさせていただいております。

自社・関与先企業様についてのご相談がございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。

司法書士法人第一事務所

司法書士 神沼 博充

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神沼 博充

(かぬま ひろみつ)
司法書士
司法書士法人第一事務所で会社法務・債務整理を担当しています。
お問合せ・ご相談は下記までご連絡ください。
☎011-231-3330(代表) 0120-050-316(債務整理専用フリーダイヤル)
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