第一事務所通信 Vol.11 ━ 株券発行会社と株式の廃止ついて(その1) ━

株券発行会社と株式の廃止について(その1)

【はじめに】

第一事務所通信 Vol.9Vol.10の2回に渡り、株式の譲渡手続きについてご説明を致しました。その際、株券を発行していない会社を前提と致しましたが、平成18年の会社法施行以前は株券発行会社が原則とされていたこともあり、現在でも株券発行会社とされている会社が一定数存在します。

そこで、今回からは、株券と株券発行会社及び株券の廃止手続きについてご説明を致します。

 

【株券と、株券を発行するメリット】

 

株券とは、簡単に言うと、株主たる地位・権利を表示している有価証券のことです。株主たる地位・権利とは、前回までにご説明した議決権や配当金を受ける権利のことです。

 

会社法は株券の記載事項として、

1.株式会社の商号

2.株券に係る株式の数

3.譲渡制限株式の場合には、その旨

4.種類株式発行会社の場合には、株式の種類とその内容

を記載したうえで、株券番号の記載と代表取締役の署名又は記名押印を求めています。

以上の要件をそなえた証券を作成することで、株券が完成します。

 

平成18年の会社法施行以前は株券を発行することが原則とされていましたが、平成18年の会社法施行以降は株券発行は任意であり、必ずしも発行する必要はありません。実際、新しく設立する会社は、株券を発行しない株式会社が多いと思います。

 

では、現在は必要的ではありませんが、株券を発行するメリットとは本来どのようなものでしょうか?

 

株券には株主としての地位・権利が表示されますので、株券を発行すると、それまでは目に見えなかった株主としての地位・権利=議決権・配当を受ける権利が、株券(紙)という目に見える状態になります。また、株式を譲渡する際には株券を交付する必要があります

よって、株券発行会社においては誰が株主なのかを簡単に認識することができるようになります。これが、株券を発行するメリットと言えます。


 

 

【株券発行会社と、平成18年会社法施行】

定款に株券を発行する旨の定めのある会社を株券発行会社といいます。定款に定めがあれば、実際には株券を発行していない会社であっても、株券発行会社になります。

 

平成18年5月の会社法施行以降に設立した会社においては、株券を発行しない会社が原則であり、定款に株券を発行する旨を定めない限り、株券を発行する必要はありません。

 

これに対し、平成16年の商法改正以前は、株式会社は株券を発行することが義務付けられていました。その後、平成16年の商法改正では、定款に株券を発行しない旨を定めた会社は、株券を発行しなくてもよいことになりました。

 

注意が必要なのは、平成18年5月の会社法施行の際に、株券を発行しない旨の登記がある場合を除いて、株券発行会社である旨の登記がされるという経過措置が設けられたことです。平成18年5月より前に設立している株式会社の場合、経過措置により株券発行会社として登記されている場合があります

 

登記簿を確認しよう!

 

  

【株券発行会社におけるリスクと、株券の廃止】

株券発行会社には、実際に株券を発行している会社と、実際には株券を発行していない会社があります。

 

まず、実際に株券を発行している場合は、株券の発行・管理コストに加え、株券の喪失・盗難のリスクがあります。

 

次に、株券発行会社であるにもかかわらず実際には株券を発行していない場合は、株券を交付しないで行う株式の譲渡は無効となってしまうため、株券発行会社であることによりかえって株主が誰であるか不明確になってしまう恐れがあります。

 

そのような事態は、第三者からの出資をうける場面、あるいは、株式譲渡によるM&Aの場面において、誰が株主であるか保証を求められた際に、誰が株主であるのか確定をすることが難しくなり出資やMAを進めるうえでのリスクとなります

 

現在の会社法においては、株券発行は任意となります。平成18年の会社法施行以前に設立した等の事情により株券発行会社となっている場合、今からでも株券を廃止することで以上のようなリスクを低減することができます。

 

株券発行会社である旨は登記されていますので、必要となる手続きは、定款変更の株主総会・登記申請等となります。

 

【まとめ・ご案内】

今回は、株券と株券発行会社について、株券を発行していることのリスクについてご説明を致しました。

次回は、リスク低減のための株券廃止の手続きについてご説明致します。ご覧いただきありがとうございました。

 

 

当事務所では、株式の譲渡への対応の他、MAに関連して、

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司法書士法人第一事務所

司法書士 大沼 吉裕

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