街を歩いていると、「クレジットカードのショッピング枠の現金化」という広告を見かけることがあります。
手元に現金がなく、キャッシングの枠もすでに使い切ってしまっているためお金に困っているけど、クレジットカードのショッピング枠は余っているという方が、上記のような広告を見て、藁をもすがる思いで問い合わせをしたり、店舗に出向いてしまったりするのです。
そもそも「クレジットカードのショッピング枠の現金化」(以下「現金化」と言います。)とは、どのような仕組みなのでしょうか?
現金化では、初めに、利用者が上記のような広告を出している業者(現金化業者)の店舗に行ったり電話で問い合わせたりすると、ギフト券・ゲーム機・家電・ブランド品等の物品をクレジットカードで購入するように指示されます。
次に、利用者が購入した物品を現金化業者が買い取って、利用者に代金の現金が手渡されます。
※このような行為をご自分で思いついて、「新品のゲーム機やソフトを購入⇒一般のリサイクルショップに売却」を行って、現金を手に入れる方もいます。
結果として、利用者は、クレジットカードのショッピング機能を使って現金を入手することが出来るため、「現金化」と呼ばれているのです。
※これは現金化のうち、「買取方式」と呼ばれる仕組みです。
このほかに現金化には「キャッシュバック方式」と呼ばれる仕組みがありますが、ここでは説明を省略します。
ただし、現金化にまつわる問題点は、買取方式・キャッシュバック方式ともほぼ同様です。
では、上記のような現金化は何が問題なのでしょうか?
⑴利用者が非常に大きな「損」をする行為である
現金化では、(ほぼ)すべての場合において
「物品の購入金額>現金化業者の買取金額」
です。
現金化で手元に来る金額(=現金化業者による買取金額)は、最初にクレジットカードを利用して物品を購入した金額の7割~9割程度が通常です。
例えば、「利用者がクレジットカードで、5月1日に10万円分の金券を購入し、現金化業者が8万円で買取りをした。クレジットカードの支払いは6月30日(2か月後)である。」という場合を想定します。
これを、キャッシング(現金の借入れ)に置き換えると、「5月1日に8万円現金を借りた。6月30日(2か月後)に10万円を返済しなければならない。」というのと同じことです。
8万円をキャッシングした場合の法律上の上限金利は年20%ですので、2か月後に返済すべき金額は最高でも8万1300円(概算)です。
もし「8万円を借りて2か月後に10万円を返済した。」とすると、年150%(概算)の金利となり、貸金であれば完全に違法な超高金利を支払っていることになります。
現金化は、実質的に上記のような超高額の金利を負担するのに等しい行為=利用者が非常に大きな「損」をする行為であることを、十分認識する必要があります。
⑵法律や契約の規定に照らして非常に危険な行為である
また、クレジットカードの現金化は以下の観点から大変危険な行為であり、法律家としては「絶対にやってはいけない」と言わざるを得ません。
①自己破産するときに「免責不許可事由(自己破産が認められない場合)」に該当する。
破産法には以下ようなの規定があります。
破産法252条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
(略)
2項 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
(略)
簡単にいうと、「既に借金の返済をすることはできない状態なのに『悪あがき』で、クレジットカードで物品を購入して、購入した物品を非常に安く売却した場合」です。
現金化は、多くの場合、現金化は手元に現金がないことに困って行われ、購入した物品を安く売却するものですから、上記の免責不許可事由に該当します。
したがって、現金化を行ってしまうと、最悪の場合、借金の整理をするために自己破産の手続きを取ったとしても、免責(=借金の返済義務がなくなること)を受けられないことになってしまうのです。
②契約違反に該当する・詐欺罪に当たる可能性がある
全てのクレジットカード会社が、売却目的の物品購入を約款で禁止しています。したがって、現金化はクレジットカード会社との間の契約違反に該当し、損害賠償を請求される可能性があります。
また、そもそも返すつもりがないのにクレジットカードを利用する行為は、刑法上の詐欺罪に当たる可能性があり、最悪の場合刑事罰(10年以下の懲役)に処される危険性があります。
以上から、クレジットカードの現金化は、絶対行ってはいけません!!
クレジットカードの現金化をしようとする方の多くは、既にキャッシングの枠が一杯になってしまったり、カードローンの審査が通らなかったりして、現金を借りられない状態であり、自力での借金問題からの脱出は不可能な状態です。
したがって、現金化でなんとかその場をしのごうとするのではなく、債務整理をおこなって根本的な問題解決をする必要があります。
もし、借金でご生活がどうにもならないとお悩みの方は、現金化に手を出される前に、お早めにご相談ください。
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